香辛料イメージ

2024.6.14

江戸時代以前の辛味とは?

辛味とは七味唐辛子や胡椒、山椒といった強い刺激を持つスパイスのことです。蕎麦やうどん、あえ物にパラりと一振りするだけで料理に奥行きや深みを出してくれます。また江戸時代以前には料理としてだけでなく、食中毒予防や体を温めることを目的に辛味成分を役立てていました。

江戸時代の食文化 

江戸時代の食文化は、農民や武士といった階級に関係なくお米が主食でした。
食卓にはご飯とお味噌汁、漬け物が並ぶことが定番であり、いわゆる一汁一菜が主流です。

醬油・みりん・山椒などの調味料や辛味に関しても普及しており、刺身に醬油をつけたり、蕎麦に七味唐辛子をかけたりして食にアレンジを加えていました。

江戸時代は戦国の世が終わりを告げ、江戸幕府によって安定的な政治が行われていたため戦もなく、平和で豊かな時代です。商売や庶民文化なども発展し、食に関しても年々豊かさが増しており、現代の食文化の基礎を築いたと言われています。

親しまれていた辛味とは?

七味唐辛子

七味唐辛子は、16世紀の室町時代から17世紀の江戸時代初期に普及した辛味です。蕎麦やうどん、豚汁などにパラりとかけるだけで味に深みを与えられることから日本を代表する辛味として愛されています。七味唐辛子とは、7つの成分を調合して構成されたスパイスであり、原材料の種類によって味や香り、色合いに違いが生まれます。主に唐辛子・山椒・生姜・胡麻などを調合して作られるのが一般的です。

胡椒

胡椒はインドの南部が原産地とされており、紀元前500年頃に栽培が始まったと言われています。日本に普及したのは8世紀頃であり、中国を経由して輸入されたのが始まりです。平安時代には料理のアクセントとして普及するようになりましたが、輸入された直後は生薬として使われていました。中国の書物によると喉の淡をとったり、冷えた内蔵を温めたりする効果があると記述されています。現在では、シナモン・クローブ・ナツメグと並ぶ世界4大スパイスとして、パンチのある風味と味わいが人気です。

山椒

山椒は縄文時代の遺跡から見つかっていることから、日本最古のスパイスとして知られている辛味です。日本書紀や倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)に記されていることから、奈良時代から平安時代にかけて広く普及したと言われています。当時は大根を薄く切り、両面に軽く焦げ目がつくまで焼き、そこに醬油と山椒をかけて食べられていたそうです。山椒のピリリと辛い刺激と、後を引く味わいがクセになることから国民に親しまれています。山椒は、少量を料理に加えるだけで味を引き立ててくれることから、日本領の2大香辛料として古来から使われています。

辛味の役割

粉上の唐辛子

現代では、辛味を料理の味を引き立たせるアクセントとして利用していますが、古来では他の用途としても重宝されていました。主な役割を2つ紹介します。

殺菌や食中毒予防として使われていた辛味に含まれる唐辛子のカプサイシンには、殺菌効果や防腐効果があるとされています。江戸時代以前は衛生管理が行き届いていない側面があったことから、辛味成分によって食中毒のリスクを低減させていました。

また山椒には体に溜まった毒素や老廃物を外に流してくれる効果があり、尿路からの感染症予防が期待できるのも特徴です。

寒い冬場に体を温める効果も

古来には、現代のように電気ストーブやエアコンがなかったため、辛味をとることで体を温めていました。特に唐辛子には血行促進や新陳代謝を促す効果があるので体の芯までポカポカとしてきます。また山椒にはサンショールがたっぷりと含まれているため冷え性対策にも効果的です。

今親しまれる当店の薬味をどうぞ

薬味イメージ

江戸時代から愛される当店の薬味。
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